美少年名言集
- 作者: 桂明日香
- 出版社/メーカー: 太田出版
- 発売日: 2011/10/20
- メディア: コミック
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あとがきでも書かれていますが、開始当初の普通に引くレベルで重たいヤンデレ風味のお話が段々ギャグに比重が置かれて薄味になってしまったのがもったいないかもしれません。でも一冊丸々アレってのもそれはそれで厳しいだろうなあ、と思うと編集さんの判断が正しいと言わざるをえないけど、でもそもそも桂先生を知ったのがこの出版社の作品『そこはぼくらの問題ですから』であり、『ハニカム』とかと違って本気で危ういレベルでの狂気とか異常さに踏み込んでしまうところこそが魅力でもあったのにああでも(ノーブレス
……この方の作品について、以前「明るい異常さ」と評したことがありましたが、実はその異常さってのはそんじょそこらのレベルじゃなくてこちらが心配していしまうほどの深みだったりするのですよね。でもその洒落にならないはずのレベルの昏い穴を洒落にできるほどの厚みをもったギャグで覆えるのがこの方の強み。
元々創作活動を行うということは、常に「狂気」と向き合い、一歩間違えればそっちの世界に行ってしまう危うさを伴う綱渡り、というのが創作とは無縁の世界から彼方を眺めている者の印象なのですが、なかでも「ギャグを考える」というのは一番紙一重のギリギリまで近づいてしまう所業だと思うのですよ。
そういう意味ではギャグマンガで本当に笑いオンリーの作風だったりすると、ぶっちゃけ「大丈夫かな、この人いつか……」と思ってしまったりするのですが、この方のようにその危うさの部分もギャグと同じ比重で描けるというのはある意味凄く達観しているというか分かっているというか。パッと見は危なさそうでも実はその辺非常にバランス取って歩き続けていける方なんだなーと思っています。